来雨

大雨の中、彼は家の前で俯いて立っていた。 何を話しても答えるでもなく立っている彼を家に入れた。 風呂を沸かし、彼の手を引き一緒に入る。 彼の身体を丹念に、無数の傷を流すかのように撫で洗った。 彼の身体を乾かし、手を引いてベッドに入る。 守るよう…

服を買いに行く時のこと

昔から服屋がニガテだった。 入ると気持ち悪くなって、10分ほどで外に出たくなる。 その原因はおそらく2つあった。 僕には姉が2人いる。 買い物に行く時は、姉と母がいることが多く、三者三様なファッションセンスで服を薦めてくる。 そして僕が選ぶものには…

とある同性愛キャラについて

フジテレビで何十年振りかにとある同性愛キャラがバラエティー番組で復活した。 これについて、私の意見を書いていこうかと思う。このキャラは、口の周りに青髭メイクをし、口をあまり開けないようにウフフと笑う。 ホモなの?と聞かれ、あくまで噂なの、と…

あの空は綺麗だった

綺麗な夕焼けだ。 おもわず学校の窓から携帯で撮影していた。 雲と、空と、山と、夕焼け。 見事な調和でそこに存在していた。 下を見ると、彼が部員と談笑しながら校舎に戻って来ていた。 目が合い、彼は手を振ってバイバイと声を掛けてきた。 僕は手を振り…

ぼくの背がこんなに伸びた理由

「おねえちゃん!」両手いっぱいに野草を抱えて走ってくる弟を抱き止める。「おかえり」「あのね、森の中で変なおにいちゃんと会ったの!」弟の後から歩いてくる男。「こんにちは、いやこんばんはかな」片手で被っていた帽子を持ち上げ挨拶する男。 私も挨拶…

ヤンキーマックと委員長モス

赤髪でチャラチャラして、放課後はいつも寄り道して帰るヤンキーなマック君。 品行方正を心掛けてきた私にとって彼は苦手な人。でも、惹かれてしまう。いつも笑顔で誰にでも愛想がよくて、少し危険な匂いがする。 真面目ぶって、お高く止まってる私とは大違…

父方と縁を切った話

まず前提として、これから先の話はほぼ伝聞であり、また僕自身に話してもらったことは数少ないので、どこまでが本当かは分かっていない。なので、半分フィクションとして読んで欲しいし、その方があなたの精神衛生上にも良いだろう。 この話をする前に、父と…

おっさんとビジホでチューした話

まずはじめに言っておきたいのは、タイトルが頂点の記事なので、これから先の盛り上がりを求めないで欲しいということだ。 僕が自分をゲイであるとほぼ確定させたのは、高校に上がった時だ。 具体的に何かがあったわけではないのだが、そうなんだ、と自分を…

ふおん

久しぶりに一族と会った。 兄弟とはなかなかに会話ができるようになったけど、それ以外とはうまくいかない。 なぜなのかと思っていたけど、本人に直接言わなかったりとか、その仲立ちを子供たちがしていたりだとかが苦手だったのかも。 僕は家族で唯一血液型…

やどかり

僕は大学二年になった。新しい生活に慣れようとしているうちに入学から一年が過ぎてしまった。「ほら、出来たぞ」「おー、ってまた焼きそばかよ……」この男、黒根政(マサ)はまるで我が家かのように僕の家で寛いでいた。「文句言うなら自分で作れよな」マサは大学に…

おじさん

おじさんは新しいリモコンを作る旅に出た。おじさんが僕にくれたのは掌に収まる白いリモコンだった。このリモコンで何が出来るの、と聞いたら、雪を降らせる事だけだ、と言われた。一つだけある丸いボタンを押すと、はらはらと雪が降ってきた。雪はどんどん…