君が君に読む話 1


小さな村にある国道の、道の駅の隣の小さな喫茶店で、従業員は一人。
今日もいつも通りに開店する。

カウンターに数席と、テーブル席が二つ。
客は常連ばかりで、メニューはあるのかないのか。

そんな静かな喫茶店にいつものように飛び込む影。

「大変、大変~!」

「どうしたの、スミス君」

スミス君こと、三隅(みすみ)君は、リス獣人である。
リスにしては珍しく、細くてそこそこ身長が高い。
しかし本人いわく、その“そこそこ”な身長のせいでリス仲間では浮くほど大きく、他の種族ほどの大きさもないのでモテない、らしい。
キラキラと輝く毛並みは人目を引く。