ヤンキーマックと委員長モス

赤髪でチャラチャラして、放課後はいつも寄り道して帰るヤンキーなマック君。
品行方正を心掛けてきた私にとって彼は苦手な人。

でも、惹かれてしまう。

いつも笑顔で誰にでも愛想がよくて、少し危険な匂いがする。
真面目ぶって、お高く止まってる私とは大違い。
今も彼の周りには人が集まってる。(2017年マックの店舗数2898・モスの店舗数1359)

溜め息を小さくこぼし、読んでいた本を片付け教室を後にする。
私も偶には寄り道しよっかな……。



「なーにしてるのっ?」

いつの間にか数人の男に囲まれていた。
この制服は隣町のロッテリ高校だ。
友達の少ない私でも、悪い噂が立っている高校だと知っている。

じりじりと後ずさるが、壁がそれを阻む。
もう逃げられない、そんな時。

「お前ら、何してるんだよ」

赤い髪、怪しげな笑顔。

「うわっ、あいつはマック! 逃げるぞ!」



「何やってるんだよ」

二人きり。
彼の笑顔以外を初めて見た。

「ごめん……」

気圧されて、何故だか謝ってしまった。

「危なっかしいな……」

頭を掻く彼は太陽を背負っていた。
手を差し出して放たれる言葉に、私達の未来が大きく変えられるとは思ってもいなかった。


「お前、俺の傘下に入らねえか?」




-続-